2017年度日本草地学会大会
企画シンポジウムの予定
(3月2日現在の情報です)


企画シンポジウム1
 「多様な植生を活用した放牧家畜生産の展望と課題」

我が国の植生は多様な植物種で構成され,その多くは飼料資源として利用することができる。すでに,中山間地域の遊休農地などを家畜の放牧で再活用する取り組みが各地で行われているが,植物種の豊富さが家畜生産性や健康性にもたらす効果についてはよく分かっていない。提案者らは,2014年度から共同研究を行い,この課題の解明に取り組んできた。このシンポジウムでは,その成果を中心に,家畜の栄養,行動,および土地の持続的利用の観点から放牧地の植物種の豊富さが家畜生産性にもたらす効果について,その展望と課題について紹介したい。
    日時:3月22日(水)、9:30−11:30
    場所: 弘前大学 A会場(306講義室)
    企画者:小倉振一郎(東北大学)・八代田真人(岐阜大学)・川村健介(国際農林水産業研究センター)
   (1)多様な植生下における放牧家畜の養分摂取の特徴
       小倉振一郎(東北大)
   (2)多様な植生下における放牧家畜の採食行動のモニタリング
       八代田真人(岐阜大)
   (3)半自然草地における植生の遷移に伴う放牧ヤギの栄養状態の変化
       土居和也(岐阜大)
   (4)放牧地におけるドローンの利用と課題
       川村健介(JIRCAS)

企画シンポジウム2
 「草地・飼料作における獣害の実態と被害対策への展望」

野生動物による全国の農作物被害額は近年では毎年200億ほどで推移し、依然として深刻な状況にある。このうち30〜40億円程度を牧草を含む飼料作物が占める。農林水産省は、平成28年度にシカ、イノシシを50万頭捕獲する目標を掲げ、予算も計上して積極的な対策に取り組んでいる。本企画集会では、北海道から中国地域まで、第一線で獣害対策に取り組む演者からの現状報告を通じ、今後の被害対策について展望する。
    日時:3月21日(火)、15:00−17:00
    場所: 弘前大学 B会場(305講義室)
    企画者:塚田英晴(麻布大学)
   (1)北海道におけるエゾシカとヒグマによる草地・飼料作物への食害の現状と今後の課題
       亀井利活(地方独立行政法人北海道立総合研究機構環境科学研究センター)
   (2)ツキノワグマによる飼料作物被害ー東北地方の事例ー)
       出口善隆(岩手大学農学部動物科学科
   (3)牧草地におけるニホンジカの捕獲
       竹田謙一(信州大学学術研究院農学系)
   (4)イノシシによる牧草地被害の実態とその対策
       上田弘則(農研機構西日本農業研究センター畜産・鳥獣害研究領域)

企画シンポジウム3
 「北の大地の低投入型酪農の可能性とその効果」

広大な牧草地でのんびりと牧草を食む乳牛」の光景は「北海道酪農」のイメージとして定着しているが、実際には、放牧飼養される乳牛は全体の3割程度に過ぎず、TDN自給率は半分程度であり、施肥のほとんどは化学肥料に依存している。このような中、「土」「草」「家畜」の関係と機能を重視した放牧を主体とする低投入型の酪農経営に焦点を当て、実践者による報告を行うとともに、生産や経営状況、環境に及ぼす効果について議論する。
    日時:3月21日(火)、14:30−16:30
    場所: 弘前大学 C会場(309講義室)
    企画者:小路敦(農研機構北海道農業研究センター)
   (1)シンポジウム趣旨説明、北海道東部における低投入型酪農の生態学的観点からの特徴
       小路 敦(農研機構・北農研)
   (2)風蓮湖流入河川の流域管理に際して低投入型酪農に期待すること
       長坂晶子(道総研・林試)
   (3)酪農経営の収益性格差と低投入酪農の可能性
       吉野宣彦(酪農学園大)
   (4)北海道東部における低投入で持続的な酪農の取り組みと将来展望
       森高哲夫(マイペース酪農交流会事務局)

企画シンポジウム4
 「草地生態系とそのモデル研究」

草地生態系は、農家・草地(草原)・家畜・自然環境の複雑な絡み合いの中で、時事刻々と変化を遂げながら、人類に食糧を提供しつづけてきた。草地はまた地球陸面積の1/3を占めており、ここに生活する人々は5億人以上で、地域環境から地球環境まで大きな影響を及ぼしている。そのように広大で複雑な絡み合いを対象にした草地の研究は、システム概念で把握されることが要請される。本シンポジウムでは、草地システムの研究方法と新たな方向を議論する。
    日時:3月21日(火)、14:30−16:30
    場所: 弘前大学 D会場(310講義室)
    企画者:塩見正衛(茨城大学)
   (1)Okubo-Jacquard model の発想と概略、および草地学へのシステム論導入の経緯
       大久保忠旦(宇都宮共和大学)
   (2)草地を利用した畜産業におけるシステムモデル
       板野志郎(新潟大学)
   (3)草地における環境影響評価モデル(放射能モデル)
       築城幹典(岩手大学)
   (4)植生の観測からモデリングへ
       安田泰輔(山梨県富士山研究所)
   (5)青海・チベット草原生態系の炭素循環に及ぼす環境変化の影響
       唐艶鴻(北京大学)

企画シンポジウム5
 「植生をめぐる微生物の生態学」

植物は様々な微生物と相互作用しながら植生を形成しており,こうした相互作用は,自然・半自然の植生のみならず,農業・園芸, また,広くは地球環境全体にも大きく影響していることが明らかになってきている。草地学における微生物研究は今後,どうあるべきか,開催地,青森県での自然栽培農園での研究から見えてきたそのヒント,また,近年の関連研究からのトピックス等を交えて論議する。
    日時:3月22日(水)、9:30−11:30
    場所: 弘前大学 F会場(304講義室)
    企画者:菅原幸哉(農研機構畜産研究部門)
   (1)奇跡のリンゴとマイクロバイオーム
       杉山修一・平久江歩美(弘前大学農学部 植物生態研究室)
   (2)グラスエンドファイトが種子食性昆虫および宿主草種へ及ぼす影響
       山下雅幸・澤田 均(静岡大学農学部 生態学研究室)
   (3)菌根共生の生態機能を分子から探る
       齋藤勝晴(信州大学農学部 土壌生物学研究室)
   (4)飛ぶ鳥を落とす植物共生菌?   〜グラスエンドファイトの功罪と応用研究の現状
       菅原幸哉(農研機構畜産研究部門)